バイクのエンジン冷却に使われている冷却水(ラジエーター液)の役割、交換時期、確認・交換方法の基礎知識
冷却水のメンテナンンスの基礎知識を身に着けて
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バイクのエンジンは、水冷式又は空冷式の冷却装置を使って冷却して一定の温度となるように温度制御されています。
水冷式の冷却方式では冷却材として冷却水(ラジエーター液)を使っており空冷式は冷却水は使っておりません。水冷式の冷却水は経年劣化して冷却性能が徐々に落ちてくるので2年ごとに新品に交換することをおすすめします。
水冷式のバイクの冷却水(ラジエーター液)のメンテナンスをする時に覚えておきたい基礎知識を紹介します。
目次
エンジンは、空気と燃料を燃焼させて動いているので、エンジンが掛かっている状態では常に熱が発生しています。
エンジンから発生する熱の冷却を怠るとエンジンの温度がどんどん上昇していくようになり、その結果オーバーヒートして、エンジンオイルの働きが低下して止まったり、燃焼が異常になって火災になったりしてエンジンにとっては大きなダメージが加わり、最悪の場合では熱でピストンやシリンダーなどの部品が溶けて壊れてしまうこともあるので、何かしらの方法でエンジンの熱を奪い冷やす対策が必要になります。
そこで、ラジエーターというエンジンの熱を奪って温度を下げる冷却装置をバイクに取り付けてエンジンが正常に動くようにしています。
バイクの冷却装置には2種類あり、水冷式又は空冷式という冷却方式が採用されています。
※一般的には、水冷式という冷却方式を採用しているバイクの方が多いです。
水冷式という冷却方式を採用しているバイクは、ウォーターポンプを回転させて冷却水(ラジエーター液)をエンジン内部へ循環させ強制的にエンジンを冷やそうという仕組みです。
冷却水は、エンジン内部の熱を奪って高温となり、高温となった冷却水はエンジンの前方についているラジエーターに送られて冷却ファンや走行風で冷却水を冷やしてウォーターポンプでエンジン内部へ循環させています。
※始動時などのようなエンジンの温度が低い状態の時では、冷却水がラジエーターに流れないようにサーモスタットで経路を切り替えて循環させています。
このように、冷却水はエンジンの熱を制御してエンジンを冷やして一定の温度に保つために必要なものです。
なお、空冷式を採用しているバイクは、エンジン本体の外面についている冷却フィンに走行風を直接当ててエンジンを冷やすシンプルな仕組みになっていますので冷却水は関係ありません。
水冷式の冷却装置が装着してあるバイクのみ冷却水の点検を行ってください。
冷却水の交換時期は2年に1回の頻度で行うことが一般的です。
私の経験では3~4年は交換しなくても大丈夫でしたが、冷却水路内が錆びると冷却水が茶色に変色するので早めに交換することをおすすめします。
交換方法は、ドレンボルトを外して古い冷却水を抜き取って新品の冷却水に入れ換えます。自分で入れ換える時間がない方は、車検の時にバイクショップで交換してもらうのが手っ取り早い方法です。
冷却水の日常点検では残量を確認します。冷却水が溜まっているリザーバータンク内の残りの量を確認してください。
冷却水の液面がFULLとLOWの間にあれば規定量残っていますので大丈夫ですが、LOWよりも少ないときは冷却水を補充してください。
冷却水の色は、緑、赤、青などありますが性能の違いは特になく、ただ色が異なっているだけです。バイクに入っている色と同じ冷却水を使うことをおすすめします。
リザーバータンクの冷却水の量を確認してみて少し減っているくらいなら水道水をつぎ足せばいいですが、たくさん減っている場合は原液タイプのLLC(ロングライフクーラント)と水道水を規定の濃度で混ぜ合わせて補充します。その他のタイプでは、初めから薄めてあるLLCもあり、その場合は薄めずにそのまま補充してください。
但し、冷却水がかなり減っていたら冷却水が冷却ルートのどこかで漏れている可能性がありますので、減っている原因をよく調べてください。
冷却水が漏れやすい場所は、ラジエーターとエンジンをつないでいるゴムホースの接続部分からの漏れが多くあります。年数が経過するとゴムが劣化して硬くなったりヒビが入りやすくなるので気を付けてください。
冷却水の交換は初めて作業を行う方でも特に難しくはありません。
基本的には、ラジエーターにつながっているパイプの下の方にあるドレンボルトをレンチで緩めて、古い冷却水を排出して新しい冷却水に入れ換えるだけの作業です。
※エア抜きはしっかり行ってください。
下記に冷却水の交換時に使うものと交換方法の手順を紹介しますので作業時の参考にしてください。
※冷却水を捨てる時は、お住まいの地域の役場に連絡して処分方法を確認してから行ってください。
ラジエーターのリザーバータンクに補充する冷却水は、LLC(ロングライフクーラントといわれる防錆防腐効果がある不凍液)と水道水を混ぜ合わせて使うことが一般的ですが、 冷却水をすべて水道水にしてもいいのではないのかと考えている方はいませんか?
日本の気候では、春、夏、秋の気温はゼロ℃以上あるので水道水は液体となっておりエンジン内部を流れて冷却してくれますが、冬は気温が氷点下になることがあり、もし、氷点下の時にエンジンを掛けた時は水道水は固体になって凍ってしまっていますので流すことができず冷却できなくなり、運が悪いとエンジンが壊れてしまいます。
また、水が凍って固体になると体積が増えるので冷却ルートのラジエーターなどが破損する恐れがあります。
では、LLCを使うメリットは何かというと、LLCは外気温が氷点下になっても凍らないことです。冷却水を交換するときはLLCと水道水を凍らない濃度となるように混ぜ合わせて使ってください。また、水は金属と触れるとサビが発生しますが、LLCには防錆効果もあります。冷却水を交換する際は必ずLLCを使うようにしましょう。
バイクの冷却水の交換は2年ごとに行うのが一般的です。
古河薬品工業のラクラククーラントは、LLCを水であらかじめ希釈してあるタイプの冷却水で-40℃まで凍りつかないように対応しています。
また、防錆剤も配合されているので冷却ルートを錆から守ることもできますし、LLCの原液を自分で薄める必要がないので冷却水の交換が誰でも簡単に行うことが可能です。
製品へのこだわりがなければ価格が安い古河薬品工業の冷却水がおすすめです。